北海道蘭越町における蒸気噴出事故について(2)

北海道蘭越町における蒸気噴出事故について、情報をアップデートしました。

噴出の原因と思われる事象、本件への対応の課題等については、前回記事をご覧ください。

蒸気噴出の継続

三井石油開発の調査によると、

7/16の検査結果として、水道水の基準値の0.01mg/Lの2700倍に相当する、

27mg/Lのヒ素が検出されています。

また、噴出サイトの周辺の植物が、茶色や白色に変色する現象も生じています。

STVストレイトニュース 7/17「森林が変色 大量の蒸気噴出問題 最大2700倍の高濃度ヒ素を検出 北海道蘭越町」

処理水の送水・圧入開始

一方で、三井石油開発は、処理水を掘削現場から約1km南に位置するC基地へ送水し、

同基地内の既存地熱調査井(深度2,500m)への圧入を開始した、と発表しています。

出典:三井石油開発ウェブサイト

従前、処理水が大湯沼側へ流出し、

大湯沼や馬場川への水質の影響が懸念されていました。

これについて、三井石油開発は、全量が送水されているとしています。

同日(注:7月17日)15時以降、大湯沼側の道有林への放出は行っておらず、掘削現場内の処理水はパイプラインにより全量がC基地に送水されております。

三井石油開発ウェブサイト https://www.moeco.com/news/2023/07/39c.html

この送水によって、大湯沼や馬場川の水質は改善に向かうのでしょうか。

これが、今後の水質モニタリングの、一つのポイントとなると思われます。

7月17日までの水質検査結果

三井石油開発が発表している水質検査結果をまとめました。

出典:三井石油開発ウェブサイト

試料採取場所の位置関係は、上図とおりです。

(噴出場所は、CとO1の間に位置しています)

下表のうち、

オレンジ色は、農業用水の基準値(0.05mg/L以下)を上回っている箇所

黄色は、水道水の基準値(0.01mg/L以下)を上回っている箇所です。

送水開始前までのデータでは、大湯沼や馬場川での数値が高く、

大湯沼側への流出の影響が顕著に表れている状況です。

今後、その状況が変化するのか、注視していく必要があります。